女性泌尿器科とは

男女の解剖学的な違いは特に骨盤内で顕著であり、たとえば頻尿のような同じ症状でも、男性と女性では原因が異なることがあります。成人女性に多い細菌性膀胱炎は、繰り返すことが多く、さらに40代以降になると過活動膀胱による頻尿や切迫性尿失禁が増えてきます。その他解剖学的な影響により、失禁をきたすこともあります。

これらの症状や疾患に関しては、泌尿器科が専門領域です。当院では、原因をしっかりと評価したうえで、適切な治療を提供いたします。より快適な生活を目指し、泌尿器科専門医が在籍する当院での診療をぜひご検討ください。

このような症状でお困りでないでしょうか?

女性の方でお困りの症状
  • おしっこが近い(頻尿)
  • 夜に何度もおしっこに起きる(夜間頻尿)
  • 急におしっこがしたくなる(尿意切迫感)
  • 尿が漏れる(尿失禁)
  • 尿に血が混じる(血尿)
  • 尿が残っている感じがする(残尿感)
  • 腟から丸いものが脱出する ・慢性骨盤痛症候群(明らかな原因が無いのに、下腹部痛がある) など

女性の方で多い疾患

膀胱炎

膀胱炎は尿路感染症の一種で、膀胱で炎症が起こる状態です。特に女性に多く見られます。これは女性の尿道が短いことや、性行為によって細菌が尿道に入りやすいことが要因とされています。主な症状には、頻尿や排尿時の痛み、尿の濁りなどがあります。診断は尿検査により、尿中の白血球数や細菌の有無を確認し、基本的には内服治療を行います。また、水分を十分に摂取することが治療や予防に効果的ですので、日常的に意識しておくことが大切です。

過活動膀胱

尿意を突然感じたり(尿意切迫感)、トイレに行くまでに我慢ができずに失禁してしまう(切迫性尿失禁)といった症状が現れる疾患です。40歳以上の女性のうち8人に1人が過活動膀胱の症状を経験しているとされ、年齢が上がるほどその発症率も高まります。

トイレの不安から外出や旅行を避け、結果的に自宅にこもりがちになるケースも少なくありません。

過活動膀胱が疑われる場合、まず問診(質問票などを使用)を行い、尿検査、腹部超音波検査、排尿日誌の記録などを通じて評価します。

治療は生活習慣の改善や行動療法に加え、薬物療法が中心となります。

難治性過活動膀胱に対するボツリヌス療法 

3ヶ月以上治療を続けても症状が改善せず、または薬の服用が難しい状況にある場合、難治性過活動膀胱と診断されることがあります。そういった患者様には、「ボツリヌス毒素膀胱内注入療法」が効果的です。 この治療法は過活動膀胱に対する新たなアプローチであり、ボツリヌス毒素を膀胱壁に注射することで、膀胱の筋肉の過度な収縮を抑え、症状を和らげます。2020年4月から保険適用となり、当院でも導入しています。この治療は外来で受けることができ、過活動膀胱にお悩みの方にとって有効な選択肢です。お困りの方はぜひご相談ください。

治療法について

膀胱に局所麻酔を行った後に、膀胱鏡を挿入し、細い針を使用して20~30ヶ所に注射を行います。治療時間は10~20分程度で、外来で受けることができます

治療効果について

治療効果は、施術後2~3日程度現れます。個人差がありますが、効果は4~8ヶ月持続します。3ヶ月経過していれば、再投与が可能です。
国内の臨床結果では、初回投与後6週の時点で1日あたりの尿失禁回数が3.64回減少、27%の方で尿失禁が完全に消失、60%の方で尿失禁の回数が半分以上消失になったと報告されています。

治療の副作用について
  • 血尿(約2%)
    膀胱内に注射をすることで血尿が出ることがありますが、一時的なものでほとんどは通常で治まります。
  • 尿路感染症(約5%)
    尿の出口から細菌が入り込み、膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎などの尿路感染が生じることがあります。
  • 排尿困難、残尿の増加、尿閉(約5〜9%)
    尿が出しきれなかったり、尿がたまってしまうことがあります。残尿量によっては、カテーテルを使用して自己導尿を行っていただくこともあります。
  • アレルギー(1%以下)
    お薬の影響により、吐き気、じんましん、発疹などのアレルギー症状が起こることがあります。
    治療後に副作用が出た場合は、速やかにご連絡ください。
治療が受けられない方

以下のいずれかに該当する方はボツリヌス毒素膀胱壁注入療法が行えません。

  • 現在尿路感染症を患っている方
  • 重度の排尿障害があるが、自己導尿などの対処をしていない方
  • 重症筋無力症などの全身性筋力低下を起こす病気のある方
  • 喘息などの慢性的な呼吸器疾患のある方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 施術後の副作用で自己導尿が必要になった場合に同意できない方

尿失禁

尿失禁の原因は以下の4つに分類されます。

  • 腹圧性尿失禁
    咳やくしゃみなどで腹圧がかかった際に、骨盤底筋の弱化により尿漏れが起こる状態です。主に女性に多く見られます。
  • 切迫性尿失禁
    突然強い尿意を感じ、トイレに間に合わずに漏れる状態です。膀胱が過敏になることが原因で、内服治療が中心です。
  • 溢流性尿失禁
    尿が出にくい一方、膀胱に尿がたまりすぎて少しずつ漏れる状態です。排尿障害が原因で、主に男性に見られます。
  • 機能性尿失禁
    歩行障害や認知症などでトイレに行けないために起こる尿漏れです。

血尿・尿潜血

詳細はこちら