こどもの泌尿器科とは

小児は成人と比べ、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に関しましてもまだまだ未熟な部分があります。例えば、腎臓の大きさが成人と同等になるまでには、思春期を迎えるとされる10~15歳頃といわれます。排尿機能に関しては、排尿中枢の発達も欠かせないのですが、この排尿の抑制(コントロール)には、各々で個人差はあります。

このように成長途上にある器官というのは、成人とは異なる診察・検査・治療が必要となります。

このような症状でお困りでないでしょうか?

こどものお困りの症状
  • 夜尿症(おねしょ)
  • 包茎・亀頭包皮炎
  • 尿路感染症
  • 停留精巣 ・陰嚢水腫 など

夜尿症

一般的に「おねしょ」として知られていますが、5歳を過ぎても月に1回以上の頻度でおねしょが続き、その状態が3カ月以上継続している場合は、夜尿症と診断されます。この夜尿症は珍しいものではなく、小学校低学年の約10人に1人が経験するとされています。成長とともに自然に治ることも多いですが、生活に支障が出る場合には治療が必要です。

治療には親御さんのサポートが欠かせません。治療はまずは生活指導や行動療法から始まり、症状によっては、複数の薬を併用して改善を図ることもあります。

包皮炎

亀頭の外の皮部分の感染症です。細菌が感染し炎症をおこします。包皮部分が赤いブツブツができたり、腫れや痛みなどの症状があります。膿が出ている場合は細菌検査を行う場合もありますが、通常は塗り薬を処方し、患部に塗っていただきます。

包茎

陰茎の先端部分にある亀頭が包皮で覆われている状態を包茎といいます。小児では、これはいわゆる正常な状態(生理的包茎)で、成長するにつれて次第に包皮は剥がれてひっくり返るようになります。成長に伴い自然とむけてくるようになることが多く、積極的に治療をすることはありませんが、排尿に影響がある、尿路感染症の原因となる時には治療を要します。

停留精巣

停留精巣とは、生まれた時から精巣が陰嚢内に確認できない状態を指します。生後4ヶ月頃までに自然に下降することが多く、発生率は約1%とされています。停留精巣は、将来的に男性不妊や精巣がんのリスクを伴うため、手術が必要となることがあります。

これに対して、移動精巣(遊走精巣)は一時的に精巣が陰嚢内に下りているものの、精巣挙筋の過緊張により陰嚢と鼠径管の間を行き来する状態です。この場合、通常は手術の必要がなく、成長とともに正常な発育が見られます。しかし、後に精巣が上昇する可能性があるため、思春期まで経過観察が重要です。

陰嚢水腫

精巣の周囲に液体がたまり、陰嚢が膨らむ状態を陰嚢水腫と呼びます。生まれる前は、腹膜と呼ばれる薄い膜が陰嚢までつながっており、出生後には通常このつながりが自然に閉じます。しかし、完全に閉じずに残っている場合、お腹の水分が陰嚢に流れ込んでたまります。

このため、陰嚢水腫は朝と晩で大きさが変化することがあります。また、腸が降りてくるとソケイヘルニアと呼ばれる状態になります。生後早期には自然に閉じることも多く、最初は経過観察が一般的ですが、年齢が進んだり症状が持続したりする場合、あるいは手術を希望される際には、手術を勧めることがあります。